デジタル一眼の基本機能や操作の方法がわかってくると、次に撮影のバリエーションを増やしてみたくなります。絞りやシャッター速度の組み合わせで色々な表現はできるようになったとしても、さて、様々なシーンでどんな構図を選べばよいのか。デジタル一眼レフでの撮影に限らず、写真撮影全般でもっとも奥が深く、また、面白い部分ですね。
ここでは構図の基本について説明していきますが、あくまで基本を理解したうえで、あなた独自の手法や好みを最優先とするのが、あなたらしい写真を生み出すのかも知れません。
本当にあなたが撮影したいのはひとつだけ?
多くのスナップ写真、記念撮影のように被写体を写真の中心に持ってくると、写真のど真ん中に撮影者(あなた)が「撮りたいもの」があるわけですから、写真を見た人はその中心に意識が集中します。これはこれで良いことですが、さて、あなたがその写真を撮った理由は、その中心のもの「だけ」を撮ろうとしたのでしょうか。
おそらくあなたがその写真を撮ったとき、「中心となる被写体」の他に、その引き立て役となる何かがあり、その部分も含めて1枚のシーンにしたかったのではないでしょうか。
例えば、大平原の中に象がいた、とします。きっとあなたは、動物園でも撮影できる象を撮りたいのではなく、大平原の中の象であることを効果的に撮影したくなると思います。そこで大切になるのは、「中心となる被写体」と「それを引き立てる背景」の関係です。象を写真の中央に持ってきて撮影した場合と、平原の広がりや奥行きと象の存在を両立させて撮影できた場合では、きっと後者の方が面白い写真になることでしょう。
被写体を写真の中央から敢えて外す
このような工夫をするための基本は、被写体を中心に置かずにデジタル一眼で撮影を行うことです。中心に被写体をおいて撮影した場合の比重を、背景<<被写体とします。これに対して被写体を写真の中央から外すことにより、被写体以外の部分の比重を増やして被写体の比重を減らすことができ、背景や周囲の情景に対しても意識が向かう写真にすることができるのです。まずは、「被写体を中央に置かない」ことを意識して、あなたのデジタル一眼レフカメラの腕を磨いてみましょう。
構図の3分割法
中心の被写体を写真の中央に置かないことに加えて、その被写体を、画面を立て横に3等分した点に置くとよいというものがあります。これを3分割法と言います(黄金分割法というものもありますがほぼ同じ点を指します)。次の絵を見てください。ファインダー、またはライブビューを見て、縦横それぞれを目見当でおおよそ3等分してみます。この線の交点(オレンジ色の4点)のいずれかに、被写体を置く、そしてセンターの四角には特徴的なものを入れない、というのが3分割法の基本です。
次の絵は良くあるスナップ写真の構図、中心に被写体があることから、時々「日の丸構図」とも言われます。この構図が逆に適している場合もありますが、ここでは3分割法の比較として「悪い例」として紹介します。
これに3分割法を適用してみましょう。次の例では右下の交点に象の頭を配置しています。また地平線にも注意し、地平線を画面中央から下方向にずらすことで、象に加えて空の広がりに注目させる構図になります。
次は同様に右下の交点に象の頭を配置していますが、地平線を中心から上にずらして配置しています。空ではなく大地に重点を置いています。
風景写真での地平線の位置は、雄大な感じを強調するには地平線を写真の下方に配置、迫った感じを出すには地平線を写真の上方に配置するようにします。
以上が写真の構図を決めるうえでの基本的なアイデアです。デジタル一眼を持って色々な風景、景色、動物、子供、どんどん撮影してみましょう。